3ヶ月から一年の長期旅行の場合は、無理に長期の往復切符を買わないで、できるだけ安い切符で日本を出て、日本への帰りの切符は旅先で買うようにしたほうがいい。
一年以上の場合はもともと帰りの切符が買えないし、3ヶ月以内だと、けっこう安い切符が売ってあったりするからね。
「できるだけ安い切符」というのは、片道切符が安ければ片道切符、安い往復切符があれば往復切符を買って復路を捨てるという意味。
もちろん、長期の往復切符が安ければ、それを買ってもいいが、それでも、その復路の切符に縛られないようにした方がいい。
この理由は、1ヶ月以上の長期旅行の場合は、短期の旅行と大きく違う。
長期旅行では、旅のルートや滞在場所、滞在期間を旅の途中で決めていくんだ。
逆に言うと、1ヶ月以上の旅行を日本で決めた通りのルートで、計画通りに無事にやり遂げたとしたら、旅としては失敗だよ。
だって、日本で手に入る情報なんかほとんどいい加減なもので、どんどん古くなっているのに対して、旅先ではいろんな形で次々に新しい情報が入ってくるんだからね。
旅先でいろんな人と出会い、話を聞いて、行き先を変えるのはよくある話。
旅先で知り合った人と一緒に、考えてもいなかった国へ行ってしまうことだって珍しくはない(これが旅の本当の面白さだね)。
ところが、帰りの切符を持っていた場合、どうしてもその出発地へ戻ってこなければならないという気持ちがある。
帰りの切符があることで、旅の自由度が制限されてしまうんだよね。
僕がアテネからカイロ経由ナイロビ往復切符を買ったとき、アフリカをどんどん移動する気持ちの妨げになったのが、ナイロビからアテネへの帰りの切符を持っていたことだった。
帰りの切符があるために、「いついつまでにナイロビに戻ってこなければ、飛行機に間に合わないし…」と、精神的に動きが取れなくなってしまったんだ。
この時期でも、アフリカをあちこち旅していた日本人旅行者はいたのだから、そのころまだアパルトヘイトがあった南アまで下ったり、ザイール川のリバーボートに乗ってアフリカ横断をしていれば、これはすごい話のネタになっていたことだろう。
何年かあとになって、アフリカ縦断をした。
ところが、南アもアパルトヘイトがなくなって、モザンビーク内戦も一応終結して途中の治安も特に問題はなく、旅行者も多くなっていて、特に刺激は感じなかった(今は逆に、ジンバブエの治安が悪化して、旅行には問題が起きてるけどね)。
西アフリカにも後年行った。
が、コンゴの内戦がまだ解決せず、ザイール川のリバーボートに旅行者が乗ることは考えられない状況が続いている。
僕のアフリカ旅行がどうも本格的な迫力がない基本的な原因は、最初にナイロビに入ったとき、アテネへの帰りの切符を持っていたせいだ。
ナイロビ発の帰りの切符がなければ、アフリカのどこへ行っても、そこから直接アフリカを脱出できたので、どんどん動けたはずなんだからね。
僕がアジア横断をしたとき、カシュガルの奥地で会った学生は、日本から香港へ飛んで旅を始めたので、香港から日本への復路の切符を持っていた。
それで、クンジュラブ峠を越えるときでさえ、彼の頭にあるのは、どこから香港へ飛んだらいいか、香港からの飛行機の出発に間に合うか、そのことだけだった。
香港の滞在費は結構かかるものなので、わざわざ一度観光した香港へ飛んで、物価の馬鹿高い香港で数日過ごして日本へ帰るのは時間と金の無駄だ。
それよりは、どこか旅先の適当な町から、直接日本へ帰ってしまうと考えた方が、間違いなく気楽だったはずだ(お金的にもたいして違わなかったと思うよ)。
アジア横断をする場合でも、イスタンブールから日本へ帰ると決めていて、知人にイスタンブールで切符を手配してもらっていた学生に、パキスタンのクエッタで会ったことがある。
彼は時間がないので、無理やりに急いでイスタンブールへ向かっていた。
彼の旅は、イスタンブールで購入してある切符を使うためだけにアジア横断をしているという、とても妙な感じになっていた。
僕が調べたテヘランから日本への片道切符は(外国人料金で)850ドル程度だったから、少々イスタンブールより高くても、テヘランから日本に帰ったって、悪くはなかったんだよ。
モロッコで会った卒業旅行の学生は、パリ往復の切符でヨーロッパ一周の予定だったのに、モロッコへ入って、そこに長居をして、パリへ戻れなかった。
こういう場合は、金の持ち合わせがなくても、カードでカサブランカから日本への切符を買って、すっ飛んで帰ってしまえばいいだけだ。
もちろん、帰国の飛行機に間に合うために無茶に急いだという話も、人から聞けば面白いことは面白いんだ。
だって旅でホントに体験した話は、なんだって面白くないことはないんだから。
けれども、帰りの切符に捕らわれて、旅行自体が縛られて、思うとおりに動けなくなっちゃうとしたら、最初から帰りの切符はないほうがすっきりするのも、確かな話なんだよね。
で、帰りの切符のためにわざわざ移動する費用なんかを考えると、そんなに得はしてないと思うんだ。
僕が2002年の「世界旅行者・海外説教旅(2002)」(上海~バンコク)の最後では、夏の終わりの8月20日ごろ、バンコクから成田への片道切符を8100バーツ(約2万4千円)で購入したことがある。
このときは3日後の切符が買えたんだけどね。
だから、案外と安い切符が、簡単に見つかることもあるんだよ。
海外個人旅行では、あらかじめじっくり計画しても、あんまり意味がないってことも良くあるんだ。
それがまた、面白い話のネタになるってわけね。s
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